2項 観察 |
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手入れを始める前に、ヘルメット自体が手入れをしても大丈夫な状態かを先ず見極めます。このヘルメット場合、割としっかりした状態で非常に良い形を保っているように見受けられ、
掃除に十分耐えうる状態であることを確認しましたので、次にヘルメットに取り付けられている部品のうち簡単に外せるものを取り外します。 外せる部品とは、ナット、ネジ、または革のくさびでヘルメット本体に取り付けられている全ての部品を含んでいます。金属のツメを曲げて取り付けてある部品は取り外さないでください。
90年以上そのままの状態に保たれてきた薄い金属のツメは簡単に折れてしまいます。 本体掃除をしやすくするために注意して前部のプレートを取り外すだけで十分だと思います。
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右の写真は、真鍮ナットでヘルメット前部に固定されたプレートを取り外した姿です。 ヘルメットの内側に取り付けてある真鍮製のナットを外す為に、ヘルメット内側の養生を行ってからネジの潤滑剤を革製のシェルの内側に溢さないよう慎重にナットに数滴付けてそっとしておきます。
丸一日(24時間)経った頃に、慎重にナットを緩めてプレートを取り外しました。
このヘルメットをより大きな写真で見る為にはココをクリックして下さい。 |
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3項 金属部分の掃除 |
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この写真では、洋銀加工されたピッケル(ツノ)の部分の輝きを失ってしまっているのがご覧いただけると思います。 ピッケルの台座は、割り釘がヘルメットをほぼ垂直に貫通してピッケルに対してほぼ直角に曲げられて革のシェルに固定されています。 そのためピッケルの台座を取り外すことはしません。
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金属製の部品は、始めに柔らかく丸めた綿布に最も刺激の少ない石油溶剤などを染み込ませて、少しずつ汚れを拭き取るように磨いてください。
この段階ではできるだけ、洋銀メッキされた真鍮の部品の掃除に関して、磨き粉(剤)ではなくセ-ム皮を使って土と汚れを取り除くまでの作業で止めておきます。
メッキの施された部品が酸化等の理由で非常に汚れている場合は、非研摩材タイプの金属用つやだし剤で磨きます。 研磨材には液体タイプのものも多くありますが、私はできるだけ研磨材の含まないゲル状のものを使用しています。液体タイプも使用することができますが、ヘルメットの大部分が皮で構成されていることもあり、一度研磨剤を皮や皮と金属の接触部に染み込ませると取り除くのが難しいということがあるからです。私は液体タイプを一度も使用したことがありませんが、綿布を丸めて磨くことによって、良質のつや出しは最も効率的です。
慎重に磨けば、くすみが取り除かれて、元の洋銀メッキの輝きを取り戻すでしょう。 そして最後に、柔らかくて、きれいなセ-ム皮で拭き仕上げます。 |
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