ピッケルハウベの保存

   序論見えない死の光線紫外線の防御湿度についてカビ対策について温度サビ正しい手入れ方法

      第1章 
   2項 紫外線の防御

織物、および紙が太陽の光にさらされ続けると、次第に色が変色してくるか、黄ばんでしまい最後には、
もろくボロボロになってしまいます。 試しに数週間新聞や白い紙を車の助手席やダッシュボ−ドの上な
どの光の良く当たる場所に置いたままにしてみてください。そうすれば、その結果を見ることができます。
特に人工的なインクを使用した新聞紙への影響は、驚くべき結果をもたらすことでしょう。

これは博物館がなぜ展示品を限られた照明で照らし館内が薄暗いかという理由に当てはまります。
直射日光が当たらないように光が差込む窓に最低限カーテンをつけてあるのは、ほとんどの貴重で珍
しい遺物は、日光にさらされるいい加減な展示方法だと例外なく壊れてしまうからなのです。
露光量でもたらされた損害を例証するために、
私が所有する制帽(パイピングがピンク色)を
ご覧にいれます。
左側は、光にさらされていなかった部分であり、
原色に近い鮮やかな色をしています。 右側は
表の常に光にさらされていた生地です。日光で、
晴天の日にいかなる種類の絵、写真、または布
の類がどうなるか良く分かる一例です。
光による損害の可能性は蛍光灯も例外ではありません。 現在ごく一般的に使用されている蛍光灯は、
その量こそ日光ほどではありませんが、同様のUV光線を出しており、時間の経過とともに同様の被害
を発生させます。 収集品が蛍光灯の下にある以上UV防止用蛍光灯(紫外線吸収膜付)もしくはUVフ
ィルタによって紫外線から守る必要があります。そういった努力を惜しめばいずれ大切な収集品は、台
無しになってしまうことでしょう。

個人的な意見を述べさせていただくと、国内外のアンティークショップなどでショーウィンドウに誇らしげに展示
された多数の気の毒なアイテムを見ることがあります。人気商品は早く売れてしまうので見るべき状態の劣化
は少ないと思いますが、売れ残ったアイテムが、かつての色彩や状態を全く変えてしまっているだろうことは、
残念なことですが誰の目にも明らかです。
アンティ−クのヘルメットやユニフォームは、あなたが気に入ったものを手に入れる為に、多くの時間と費用を
費やしているはずです。普段身に着けるお気に入りの衣服やアクセサリ−が、色あせたり破損したら同じもの
を購入するかは別としても、新たなものを見つけて購入するのにはそれほど時間はかかりません。
本物のコレクターは、世界的・歴史的に貴重なアイテムを自己満足の為だけに入手してただ増やしたり投資の
対象にするべきではなく、大切に且つ適切な保存を行うことで、まだ手にしたことのない人々や次の世代にでき
るだけ当時の状態を正確に伝える為の努力も必要だと私は思います。なぜなら、あなたの手元にあるすばらし
く大切なコレクションは、かつての多くの所有者達が善良な保存をおこなってきた紛れもない結果なのですから。

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