ピッケルハウベの保存

    序論見えない死の光線紫外線の防御湿度についてカビ対策について温度サビ正しい手入れ方法

      第4章
   温度



        高過ぎず低過ぎず
      一定に保つこと…

コレクションを保存する際に良く誤解される一つに「温度に気をつける」ことが、大変重要
な要素として考えられているようですが、 これは必ずしもそうではありません。 身近な例
として古い人工物を収蔵する博物館は、その所有する収蔵品の置かれる環境において、
冬には比較的低い温度になり、または夏には定期的に高くなります。 多くの人工物は本
来−30℃位の低温にまで耐えられる性質を持っており、屋内における冬の低い温度は
むしろ化学変化による崩壊や病害虫、カビ、そしてエネルギー消費のような問題を減らす
ことに貢献しています。 低温が人工物に悪影響を及ぼすという誤解は、構成する材料が
低温によってもろくなると一般的に考えられている為で、これは一般的にプラスチックや
絵の具に関しての注意事項と言えます。

高温によってもたらされる古い人工物にとって最も危険なことは、湿度が一般的に40%
未満まで低下して、乾燥が起こるということです。 ヘルメットの乾燥はごく僅かな収縮を
もたらしますが、ここで最も細心の注意を払わなければならないことは、激しい温度変動
を引き起こさせないことなのです。 温度の変動によって、ほとんどの材料が膨張・収縮の
繰り返しを引き起こします。 第2章(湿度)で述べたように、ヘルメットのラッカ−仕上げの
塗装面の「連鎖的なひび割れ」を起こさせないためにも急激な温度変化を防ぎ快適な温度
を維持することが、最重要ポイントと言えます。

正しく保存されていたラッカ−仕上げの
表面をもつピッケルハウベの写真です。
当時の状態をこれほど良く保っている
ヘルメットは非常に幸運な存在だと言え
ます。

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