ピッケルハウベの保存

   序論見えない死の光線紫外線の防御湿度についてカビ対策について温度サビ正しい手入れ方法

      第2章
   湿度について

  1項
 気をつけるべき事
 それは湿度です。
コレクションに保存に関する気配りの一つには、空気中の湿気の量を相対的に表す湿度があります。

革と金属からできている人工物の保存場所における湿度に関して、最も気をつけなければならない
注意事項が2つあります。 一つ目は湿度40%未満の時、革が収縮、乾腐病(赤い腐敗として、知ら
れている)等により、ひびを生じさせながら乾燥し始めもろくなるということ。 二つ目は66%の湿度で
カビとサビが発生し始め75%以上でコレクションに重大なダメ−ジを与え始めることです。

 コレクションが地下に収納されていると、温暖な天気の時に部屋が涼しいという単純な理由でその
スペースに対して多湿になる傾向があります。 冷たい空気は暖かい空気ほど多くの湿気を保つこと
ができないので、地下の湿度は必然的に上昇するのです。

   第2章・2項 
   湿度のコントロ−ル

制限された空間における湿度に対処するため覚えておくべき第一の法則は、湿度と温度が相対的に
関連するということです。 例えば、温度が低ければ低いほど湿度は、より高くなります。
もし、部屋が乾燥しすぎているなら、部屋を冷やしてください。そうすれば、湿度は上昇するでしょう。
反対に、部屋の湿気が多い時には、室温を上げると、湿度は下がります。 この基本を知らずに使い
捨ての湿気取り用品を沢山置いてみたり真夏に部屋の温度を無闇に下げてもコレクションを保護する
どころか、かえってカビやサビの発生をしやすくしてまうことになります。
暖かい空気は、冷たい空気より多くの湿気を保つことができる為温度を上昇させることで、湿度は低下するでしょう。
冷たい空気は、暖かい空気ほど湿気を保つことはできない為
温度を下げることで、湿度は上昇するでしょう。


  第2章・3項
  連鎖的なひび割れ現象

湿度が高過ぎることで、湿気は、細菌とカビに加えてまた、ラッカ−仕上げのヘルメットの膨張を引き
起こし、いわゆる『連鎖的なひび割れ」の原因にもなります。 また、表面に発生するひび割れは乾燥
によって革が縮むことでも引き起こされます。

表面ラッカーの崩壊は、老朽化によるものです。 ピッケルハウベの表面に塗装されている塗料は、樹
脂様物質の派生物であり驚くほど用途の広いラッカーでした。 しかし、不十分な収納方法と自然の温
度変化に応じて上下する不安定な湿度の中に数年間さらされて来た結果、革製のシェルが伸び縮み
を繰り返すうちに、 ラッカ−仕上げの表面に連鎖的なひび割れを大発生させてしまったのです。 この
ダメージが大きい現象をコントロ−ルする唯一の方法は安定した環境にコレクションを収納することです。
                     
上の写真は、老朽の結果、ヘルメットの表面に塗られた塗料のひび割れが
発生した例です。。これは、この時代の同様の加工を施されたほとんど全て
のヘルメットに表れる特徴であり、市場におけるヘルメットの価値に必ずしも
影響しません。(古い価値ある油絵的な感覚のようです)
  第2章・4項
  正しい設備への投資
日本に在住している場合、湿気と乾燥は年間を通して頭の痛い問題です。 夏には多湿になり、
冬は乾燥。 冬には自動制御された加湿器が部屋を乾燥し過ぎることを防ぐ事に役立ち、夏に
は除湿機が、コレクションにとってよりよい環境を維持する為に活躍してくれます。 両方とも一
定の湿度(40%〜60%)に保って運用することが必要です。 湿度と温度が両方(同時に)分かる
ディジタル湿温計の購入は、最も良い投資の1つです。 40%〜60%の間で50%の湿度に保たれて
いれば、あなたのヘルメットは、サビやカビの発生、収縮、膨張すること無く比較的安定した状
態に置かれていると言えるでしょう。
湿度がこれらの限界点の外にあるなら、環境や収納スペ−スにあった除湿装置や加湿器を購入
することが、唯一正しい選択といえます。
コレクタ−の必需品。 ディジタル湿温計。
 
コレクションパラドックス

普通のコレクタ-は、コレクションを保護するための
除湿装置や加湿器に数万円を出費するより収集品
だけにお金を費やして、大事なコレクションが自分
の知らない間にゆっくりと悪化していくのを気にする
事も無く眺めているのは・・

一体なぜでしょうか?